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7・8月の文化活動

ここ最近行った美術館について

東京国立博物館 「国宝聖林寺十一面観音像-三輪山信仰のみほとけ」

なにやら凄い観音様が東京に来た!と話題になっていたので見に行ってきました。コロナ対策の関係で予約制になっていて、アプリ「美術展ナビ」をダウンロードして予約しました。東博のサイトから予約しても結局「美術展ナビ」に誘導されるで入れておくと便利かな。

もともとは三輪山を祀る大神神社付属の大御輪寺の本尊だったのが、廃仏毀釈の関係で聖林寺に移された観音様だそう。秘仏だったのがフェノロサが見つけて以来、和辻哲郎白洲正子らが絶賛した観音様ということは、かなり美しいはず!

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会場に入るともう目の前に観音様がドーンとあるので、こ、これは………と息を呑む神々しさ。神々しいのに威圧的ではなく優しくて麗しい観音様です。もちろん迫力が凄いのだけど、お顔立ちも優しげで体躯も曲線的で優雅、衣も柔らかくなびいていて、全体的にたおやかな観音様で絶賛されるな…と納得。

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360度から眺められるのですが、正面の三輪山と鳥居を背景に立っているのを見ると大三輪山信仰の雄大さが相まってありがたみが増します。衣の流れが木からできてるとは思えない柔らかさと花瓶を手に持っているのが愛らしくて本当にたおやかな観音様。

今回の展示は三輪山信仰についても焦点を当てていて三輪山の出土品や、昔は観音様と一緒にいたけれど離れ離れになってしまった仏像があって見応えありました。展覧会の規模は小さいけれど満足度高かった!正直この十一面観音だけでも1400円払う価値ありです。

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十一面観音像のアクスタ。アクスタあんの?!ありがたい…?のかな?アクスタの他にTシャツとかも売ってた。どっちも同行者がものすごい欲しがってたけど結局トートバッグを買っていました。

東京国立博物館聖徳太子法隆寺

「国宝聖林寺十一面観音像-三輪山信仰のみほとけ」と同時期にやっていた「聖徳太子法隆寺」もせっかくだからハシゴして見てきました。一般2100円で十一面観音像の展示と合計して3500円。かなりお得でした!まぁチケット代は実質無料みたいなもんだから…。

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大学時代に東博法隆寺宝物館で学芸員をしている先生の授業を取って勉強していた記憶が断片的に思い出されました笑。どこかにノート取ってあるんだけどなぁ。国宝もかなり出品されていて豪華な展覧会だったけど人は少なくて見やすかった。

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法隆寺の横にある中宮寺にある天寿国繍図や国宝の薬師如来坐像、27年ぶりに外へ出た国宝の聖徳太子および侍従像など見どころ多しな展覧会。

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法隆寺の仏像は壮大すぎて、大きな森とか深い海みたいな底知れなさを感じるのが多いなあと再確認しました。あまり知識がないせいでこれといった感想が言えない…!もうすこし勉強して鑑賞するべきでした…。玉虫の厨子奈良国立博物館でやる「聖徳太子法隆寺」ではみられるそう。あれはもう一度見たい。

山種美術館山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選―写楽北斎から琳派まで―」

こちらは当日券あり。恵比寿から坂を登ったところにある美術館。大学生のとき初めて行ってほんとに美術館?と思った。

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山種美術館開館55周年記念ということで、所蔵している浮世絵と江戸絵画の名品を紹介する特別展。後期展に行ったら歌川広重東海道五拾三次や俵屋宗達酒井抱一、鈴木其一と琳派も見れるし岩佐又兵衛の官女観菊図が見れて大満足。

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俵屋宗達 槙楓図屏風。やっぱり琳派のこの曲線と直線、左右の対称といったデザインがたまらなくいい!右のグッと曲がった木に直線的な気が立っていて、赤い楓が斜めに貫いているのがオシャレなの〜!

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酒井抱一 秋草鶉図屏風。黒い半月と細くて繊細なススキと可愛い鶉が風流な屏風。見てるだけで秋の涼しげで気持ちいい夜の感覚とか描かれてないけど鈴虫の音とかが再現される。

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鈴木其一 四季花鳥図。右から左へ視線を移すと春夏秋冬になるのが素敵な一枚。ぜんぜん違う季節の花が一枚になってるのに違和感なく、花の瑞々しさが伝わってくる凄く綺麗な一枚。其一は琳派のなかでも特に花を描くのが上手だと思います。わたしは大好きで琳派の中でも光琳の次に好き。光琳は卒論でも扱ったほど別格にすき…あと金持ちの次男属性に弱いので光琳は沼。

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岩佐又兵衛 官女観菊図。菊を見ているだけなのになにこの艶かしさ?!髪の描き込みがすごすぎてもはや執念を感じる。ほそーい黒髪がぬらぬら垂れてるのがすごく色っぽい。よく見るとすこし髪が絡まってるところとかもある。牛車からカーテンみたいなのがてろーんと地面に垂れてるのもなんか色っぽい。綺麗な女の人を隠してたベールが開いて無邪気に菊を見る女の人を覗き見してる気分になる。

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日本美術の麗しさってのはこれです!という名品揃いの美術展で、坂を登って汗だくだくになっても見る価値あり。カフェも併設されていて和菓子と抹茶セットで1200円くらい。和菓子が可愛くてちょっと高いけど記念にたべてもいいかな〜と毎回思いつつ食べていない笑

三菱一号館美術館 「三菱の至宝展」

こちらも当日券あり。静嘉堂文庫や東洋文庫の宝物も展示されており、富…!三菱の富やばすぎ…!となります。卒論で一番使った著書が河野元昭先生の本で、その先生が静嘉堂文庫の館長をしていると知りテンション上がりました。

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三菱一号館美術館静嘉堂文庫、東洋文庫のお宝をこれでもかと見せてもらえる展示で富とはこういうものか…と圧巻でした。曜変天目はもちろん他の茶道具も良いものばかりで三菱や三井は茶道具がいいモノしかないので最高なんです。

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俵屋宗達 関屋澪標図屏風。後期に行ったので関屋の方でした。作品を知っている人なら、牛車からちらりと文が出ていらのを見て、昔の恋人に文を送ろうとする源氏がいるんだと分かる演出。こちらも直線と曲線、海(澪標)と山(関屋)の対比が光る屏風なので二つ同時に見たかったなぁ。

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出た!!!曜変天目!!!国宝の曜変天目は三つで、藤田美術館大徳寺 龍光院、そしてこの静嘉堂文庫 稲葉天目。大徳寺曜変天目は写真でしか見たことがないけれど、この曜変天目が一番明るくて宇宙みたい。キラキラしていて包み込むような深い青から明るい黄色になるまでのグラデーション。見てるだけで宇宙のなかを揺蕩うような感覚になります。人工じゃなく自然にできたというから驚き。これでお茶は点てられない…!笑

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ほかにも毛詩や史記に加えて茶道具に中国美術やコーランまで貴重なものわんさか見れて、三菱の文化資本に圧倒される展覧会でした。三菱一号館カフェもあったり中庭も綺麗な美術館。わりと人も入っててカップルも多かった。三菱一号館美術館デートにもってこいだもんね…!カフェもあるしちょっと歩けばGARB Tokyoとかロブションもあるしデート感すごいもんね。GARB Tokyoはよくオシャレ雑誌とかキラキラ港区のインスタにも出てくるお店だけど、ランチなら1人でも入りやすいので孤独のグルメにぜひ。

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フラッシュを焚くと曜変天目が出てくる謎のフォトスポット。

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中庭の右にあるのがイタリアン A16 TOKYO。

www.giraud.co.jp

緑がみれる開放的な作りで釜焼きピザが美味しい!ここはパスタよりピザをお勧めしたいお店。観る前の腹ごしらえにも観た後のディナーにも利用しやすいのでデートとかにおすすめ。席も広めで適度な騒がしさが気取ってなくて良いです。値段はそんなに高くはないけど、若干ロケーション代も入ってるかな?という感じ。

コロナでなかなか外出も難しいので殆ど一人で美術館に行って見て帰るだけなので、はやく友達誘ってカフェとかで感想言いながら見たいよ~泣ほんとは京都の京の国宝展とかも行きたいけどこのご時世なので遠征は憚られるしで辛い。